ババ抜きはババを抜け

仲間が集まってトランプをしようというとき、イタズラ者が 「ババ抜きをしよう」と提案する。みんなが「なにを今さら」という顔をしたら、「ババ抜きというものは、ババを抜かないことよりも、ババを抜くことの方が難しい。最後にババを持っていた者こそ、真の勝者ではないか?」と説く。仲間はこの説に感動して『新説ババ抜き』を始める(いくらかでも賭けると、盛り上がるだろう)。最後のひとりがババを手にしたら、ゲームは終了。ババを持った勝者は大喜び。そこで、突然イタズラ者は、「でもなぁ、結局、長いトランプの歴史の中で、ババ抜きはババを抜いた方が負けと決められてきたんだから、やはり最後にババを持ってた奴を負けにするのが自然なんだろうなぁ」と言い出し、周囲に同意を求める。負けが勝ちになるのだから、周囲は反対するはずもない。結局このゲーム、みんなの多数決で、ババを持った一人が負けとなり、そいつがみんなに金をむしりとられて終わり、という次第。
なにやら大人社会の縮図を見るような話。
人生勉強のためにこのゲームをやってみてはいかがだろうか。

(1988年1月「ホイチョイ・プロ『イタズラの天才の息子』より抜粋)